好字二字令
都道府県市町村の名称は2文字が多いとは思いませんか?
時は元明天皇の御世、和銅6年(713年)5月に発せられた勅令です。
それまで旧国名、郡名や、郷名の表記の多くは、大和言葉に漢字を当てたもので、漢字の当て方も一定しないということが多かったようです。
地名の表記を統一しようということで発せられたのが好字二字令です。
漢字を当てる際にはできるだけ好字(良い意味の字。佳字ともいう)を用いることになったそうです。
適用範囲は郡郷だけではなく、小地名や山川湖沼にも及んだとされています。
好字二字令では、3文字の地名はともかくとして1字の地名も無理やり2字になりました。
これは利便性の向上もさることながら、当時日本から見ると先進国であった唐(中国)にならうという意味があったそうです。
中国の地名の多くは「洛陽」や「長安」など良い意味の2字の名称が用いられていたからです。
なお、旧国名については好字二字令より以前に2字に統一しようという動きがあったようです。
中には漢字の当て方に明らかに無理のあるものもあって読みづらいものも見受けられます。
当てた漢字の音に引きずられて読みが変わった例も多いようです。(例:車(くるま)→群馬(ぐんま)など)
郡名
車→群馬(現群馬県)
小丹生→遠敷(現福井県)
橘→橘樹(現神奈川県)
安八麻→安八(現岐阜県)
佐良良→讃良(現大阪府)
飛鳥戸→安宿(現大阪府)
など
郷名
林→拝志、拝師など(各所)
中→那珂、那賀など(各所)
北→喜多など(各所)
上→賀美など(各所)
機織部→服部(各所)
鳥取部→鳥取(各所)
衣、許呂母など→挙母(現愛知県)
など
その他
明日香→飛鳥(現奈良県)
中山→名香山(現在の妙高山。「みょうこう」の音から転訛した)
など
関連記事